先天性幽門閉鎖症の1例
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概要
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症例は生後4日目の男児. 母親は妊娠30週から羊水過多が認められ,妊娠33週の超音波検査で胎児腹部に大きな cystic mass を指摘された. 上部消化管閉鎖が疑われ,出生日に当院に転送されてきた. 腹部単純X線写真で拡張した胃ガス像が認められ,上部消化管透視では十二指腸下行脚への造影剤の流出が全く認められず,十二指腸閉鎖症の疑いで生後6日目に手術を行った. 幽門輪に相当する部に厚さ 2mm の完全に閉鎖している隔壁が認められ膜様閉鎖型先天性幽門閉鎖症と診断した. 隔壁は切開,一部切除し Heineke-Mikulicz 法による幽門形成術を行った. 先天性幽門閉鎖症は稀な疾患であり,本邦ではこれまでに本例を含め49例の報告がみられるにすぎない. うち本例を含め7例に超音波検査によって胎生期から上部消化管閉鎖が疑われた. 今後,胎児超音波検査の発達によって早期診断・治療が行われ予後の向上が計られるものと思われる.
- 日本小児外科学会の論文
- 1993-04-20
著者
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