晩期妊娠中毒症の脳波に関する研究
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概要
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晩期妊娠中毒症の脳波は今日までいくつかの報告をみるが, その成績は区々で統一した結論が出ていない. これは脳波学的に系統だった検査を行わないためでもある. 著者は脳波記録にメジマイド賦活まで加え潜在せる異常, 境界異常の出現を確認した. これによると晩期妊娠中毒症脳波は異常, 境界異常の出現が. 60.1%で対照正常妊婦に比し明かにその頻度が高い. その本態を追究するため妊娠中毒症の病型, 臨床症状, 種々な検査成績, 予後などと, 関係を調べた. すなわち異常, 境界異常は混合型, 特殊型妊娠中毒症に多く, また賦活による異常, 境界異常の出現は混合型, 後遺症に多い. 分娩後1ヵ月以上経過して脳波所見を残すものは混合型, 特殊型に多いが, 子癇よりも混合型にその頻度が高いことは興味深い. このように混合型にとくに脳波所見のみられることはその病態像の複雑さの一端を示すものと考えられる. 次に臨床所見との関係は高血圧の著明なものに異常, 境界異常が多く, 浮腫, 蛋白尿とは有意関係がない. このことは眼底所見の悪いもの, 指尖容積脈波の不良なもの, 腎生検不良なものに脳波所見が有意に多い事実とも関連するのであろう. 予後との関係は妊娠時劇波所見のあるものに後遺症が多い. これら異常, 境界異常は産褥1ヵ月以上経過するとその54.7%が正常化する. 異常の残存はとくに混合型, 重症妊娠中毒症に多い. 興味ある事実はそれら異常所見を示すものに預固な頭痛例のあることである. したがって妊娠中毒症経過後の健康管理は高血圧, 蛋白尿, 眼底検査のほかに, 脳波検査も有意義であることを確認した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1965-09-01
著者
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