妊娠子宮筋Actomyosinの酵素学的研究
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概要
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分娩発来機序及び流早産発生機序に関しては, 従来幾多の説が述べられているが, いまだ解決されていない現況である. 一方, 近年骨格筋より抽出された収縮性蛋白質AMが, ATPase作用を有し, 且つこのAM-ATP系の機構が筋収縮の本体である事が確認された. 著者は, 分娩及び流早産は, 要するに妊娠子宮筋の収縮により子宮内容物が子宮外に排出される機序によるものと仮想して実験を企てた. そこでこの問題解決のために, まず生理的状熊に近い条件下にて酵素を検討する事が必要であると考え, 成熟雌ラット及び妊娠ヒト子宮筋より, Szent-Gyorgyi法にて粗AMを抽出し, 各条件下に於ける粗酵素の活性度の変化を検べ, 次の如き結果を得た. 妊娠ラット子宮筋粗AM-ATPase活性度は, 妊娠末期より分娩時の方が著しく高く, この事は自然分娩の場合も, 機械的刺戟により子宮収縮を起こさせた場合も同様である. 無機イオンの粗酵素に対する態度は, ラットの場合とヒトの場合と同様であった. この事はラットの実験により, ヒトの場合の臨床応用の可能性を示唆するものである. Hormoneの影響では, in vitroの実験でEstradiolは無影響であるが, Progesterone系麻酔剤であるPrasurenは, 強力な阻害作用を示した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1965-07-01
著者
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