去勢婦人のAndrogen環境に関する研究 : ことに, 古賀法による去勢婦人の尿中17-KS分画測定値について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
非癌去勢婦人の内分泌繰境を検索する目的で, 特に尿中17-KS分画について測定を行った. 測定法は, 近時のsteroid hormone測定法の進歩にかんがみ, 現段階では最もすぐれていると考えられるsolvolysisを応用した4-step hydrolysis(古賀法)により, 若年健康婦人5例の卵胞期, 黄体期, 閉経後10年以内の婦人11例, 卵巣剔除手術後2週間にわたる4例, 卵巣剔除後5年以内の各時期にわたる24例, 片側卵巣剔除を受けた6例について, おのおの, 結合型別排泄値と17-KS分画値とについて測定した. 自然去勢である閉経婦人においては, 閉経後短期間に, 僅かに11-deoxy-17-KSの%の増加をみ, 一方では11-oxy-17-KSの%が閉経年数と共に増加して来るが, 総量および各分画値は, 若年健康婦人に比して減少して来る. 卵巣剔除手術後は, 11-oxy-17-KSの一過性の増加があり, 術後2週間すると術前値への接近を示して来る. 卵巣剔除後, 1〜3年では, 11-deoxy-17-KSの一過性の増加が見られるようであり, 更に長年月になると, 逆に11-oxy-17-KSの増加が見られて, C_<21>系steroids優位の状態を呈する. 一方, 片側卵巣剔除例では, 若年健康婦人の分画値とほぼ同様な値を示し, 変化が見られない. 以上の如く, 自然去勢, 手術去勢において, 似通った経過, 即ち, androgenicな作用の強い11-deoxy-17-KSの優位状態から, C_<21>系steroids代謝産物の11-oxy-17-KSの優位状態への転換を示すのであるが, 両者の違いは, 手術去勢において排泄値にばらつきが大きいと云う点であり, これは, steroids代謝, 生合成の場としての卵巣の急激な消失により惹起されたhormone unbalanceと考えるべきであろう.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1965-04-01
著者
関連論文
- 内分泌異常の心身医学的研究
- 22. 妊娠中毒症の臨床的観察
- 22. 妊娠中毒症の臨床的観察
- 去勢婦人のAndrogen環境に関する研究 : ことに, 古賀法による去勢婦人の尿中17-KS分画測定値について
- Glass-fiber Paper Chromatography を応用した尿中 Pregnanediol 及び Pregnanetriol の同時迅速測定法