下垂体性プロラクチンの尿中への排泄について
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概要
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Prolactinの尿中排泄による質的変化を尿抽出法とクロップ腺組織変化とから検討して次の結果をえた. 1) 尿中PLの抽出方法として, Kaolin吸着法, Carbowax濃縮法, 酸性アセトン抽出法及び安息香酸法を用いて, 夫々Prolactin(PL)の回収試験を, ハト〓嚢腺の組織所見から検討したが, クロップ組織の増殖を目標とすればKaolin吸着法が最もすぐれていた. 2) 前葉PL純品による〓嚢腺組織所見ではクロップ腺の増殖に並行して特異な脂肪粒の動きがあった. 3) 産褥婦人尿中PLによる胸筋注射〓嚢腺組織所見では, Kaolin吸着法のAmmonia抽出段階のみに於て, 脂肪反応を認めたが, この脂肪滴は形態上, 前葉PL純品によるものと異なっており, 尿中物質はPLそのものではない, 尿中PL様物質というべきである. 4) 成人男子或は閉経婦人に前葉PL純品注射後の尿中PL様物質(Kaolin吸着法)による脂肪滴は, 産褥婦人尿中PL様物質による脂肪滴と形態上全く同一であった. また前葉PL純品600〜800I.U. 注射した後の排泄量は, 乳汁分泌良好な産褥婦人尿中PL様物質排泄量に一致していた. 5) 産褥婦人に前葉PL純品を注射しても, 尿中排泄は授乳期以外のヒトの場合の如き著しい増加を示さなかった. 不活化が亢進しているためであろう. 6) 前葉中のPLとこれが尿中に排泄される型は生物学的に異っている.
- 社団法人 日本産科婦人科学会の論文
- 1965-03-01