免疫血清沈降素の産生に及ぼすホルモンの影響
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概要
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教室では腫瘍の免疫現象に及ぼすホルモンの影響を研索してきたが種属持続性に基く血清凝集素の産生がホルモン投与で著明な変動がおこることが指摘された. 著者はこの現象は腫瘍の問題に限らず一般免疫現象の抗体産生に対してもホルモンの態度が敷衍されうるかどうかを検討するため, 馬血清による家兎免疫血清中の沈降素産生についてこれを実験した。動物は室温10℃以上で飼養せる体重2〜3kgの成熟雌性家兎を使用した. 新鮮な馬血清を抗原として2cc家兎耳静脈に注射し, その後5, 8, 12, 15, 19, 22, 29, 36, 43, 50日目に耳静脈より5ccを採血し血清を分離56℃30分間加温して非働化し, 重層法沈降反応により沈降素を測定した. (1)対照無処置群における抗体沈降素産生の経過は5日まで抗体産生なく, 以後12日をピークとして上昇し, 以後漸減するが29日まで沈降素の存在を認めた. (2)ACTH(=「AC」)3.5 I.U./day, Cortisone「C」5mg/dayを連日馬血清投与日より皮下注射したものは5, 8日目すでに極めて高い抗体産生をみとめるが爾後急激に減少, 12日以後は対照より低下, 22日で僅かに沈降素を認めるがそれ以後は消失する. (3)Androgens(9mg/day)はこれと反対に興味ある抗体産生の増強を導く. Testosterone(=「T」)は初期よりすべて著しく上昇, 対照型と同様12日がピークで以後漸減するものの50日まで明瞭に沈降素を認め, 量的にも時間的にも抗体産生の促進は著しい. Androstanolone(=「A」)群もこれと類似の産生をみ, 5日から促進されるが「T」よりも幾分弱い. Methylandrostendiol(=「M」)もこれと同じことがいいうるが「A」より更に作用は弱い. (4)下垂体を剔除し1ヵ月以上経過した家兎でも抗体は産生な認めるが一般に対照より弱い. これに「T」を投与すると5〜12日まで明らかに対照より強い産生がおこる. 但し下垂体剔除家兎は貧血が強く長期採血は不可能で15日以後の成績は改めて検討する要がある. (5)Estrogen 0.3mg/day, Hexestrol 1.5mg/dayはStressorとなることを教室で証明したが, 5日で値は低いがかなりの例に既に抗体産生を認め12日で対照群より低くなるがその後Hexestrolは僅かに増強する. この他, Progesterone 2mg/dayは対照型同様であまり変化はみられない. Thymus extract(帝臓16号)は12日以後になって対照群よりやや上昇する. 以上, 「AC」「C」並びに「T」「A」「M」は特徴ある著明な影響を及ぼすことが明らかとなったが特に後者群の抗体産生増強作用はその応用面に将来大きな期待がもたれうるものと信ずる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1965-03-01
著者
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