子宮頸癌に於ける骨盤壁リンパ節転移機序に関する研究
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概要
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子宮頚癌の再発, 転移に関する研究の一環として, 子宮頚癌に於ける骨盤壁リンパ節転移機序について追求を行った. 即ち岡大産婦人科教室にて根治手術を行い, 且つ予後の明確な422例についての組織学的検索及びこれと予後との関連から, 骨盤壁リンパ節転移に重点をおいた岡大術後分類案の妥当性を裏づけ, 且つリンパ節転移機序に関する新しい推論をたてるに到った. こゝに述べる骨盤壁リンパ節転移機序に関する推論とは次の通りである. 子宮頚部の原発巣より主として連続性に頚部筋層内に浸入した癌は, 私の規定した境界帯に達した場合, それがリンパ管浸襲性の強い性格をもつ癌であれば, 子宮旁組織内浸潤を待たずとも, リンパ集合管を経て子宮動静脈に沿って直接内腸骨節や閉鎖節等の第一次節へ転移をおこす. そしてその転移リンパ節から次々に隣接のリンパ節へ転移が拡がってゆく. 又一方主として連続性に境界帯に達した癌は更に進んで子宮旁組織に入り, こゝから連続性に, 或いは非連続性に(主として基靭帯内リンパ節へ転移), 子宮旁組織内を進んでゆくというものである. 従って子宮旁組織浸潤と骨盤壁リンパ節転移とは各々別な道を歩む訳であり, 両者の間には時間的関連があるにすぎないと云えよう. この推論は解剖学的にも説明のつくものであり, 従来の色々な説にみられる疑問点をも明瞭に解明しうるものである. 更に本研究に於て, 骨盤壁リンパ節転移が未だ発生していなければ, 子宮旁組織自体の癌浸潤は, 少なくとも手術例に於てはさほど大きな影響を予後に与えない事を認めた. 本研究によってもたらされた骨盤壁リンパ節転移機序に関する推論及び子宮旁組織自体の癌浸潤の意義に関する知見は, 子宮頚癌の治療上重要な示唆を与えるものと考える.
- 1965-10-01
著者
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