新生児感染症の尿診断に関する研究
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概要
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新生児感染症を診断する際, 年長児や成人に用いられている診断法は殆んど応用出来ない. 殊に血液による診断法は, 生理的数値にかなり変動があるため, 殆んど価値がない. そこで, 採取も容易であり, 量も充分に得られる尿を用いての新生児感染症診断法を種々検討し, 次の成績を得た. 1) 正常新生児尿を対照として, 感染新生児尿を用いたが, 尿自体の所見には, 感染による特別な変化を認め得なかった, 2) 新生児尿と血液とを混じたもので赤血球沈降速度を観察したが, 正常児尿と感染児尿との間に差異を認めなかった. 同様の材料で連銭形成を見たが, これも又差異がなかった. 3) 新生児尿5ccを家兎に静注し, 経時的に白血球を検した所, 感染児尿は正常児尿に比し, 明らかな増多をみた. 但し白血球内容には特異の変化を来たさなかった. これにより, 新生児尿を家兎に注射した後, 3〜6時間目の白血球数が70%以上増加した場合は, 該児に感染症が存在すると考えて良い様である.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1965-10-01