産婦人科領域における尿中Pregnanediolの態度
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
正常月経周期, 妊娠各週, 分娩前後と産褥8週まで, 人工妊娠中絶術前後, この中絶と比較するために非妊時の腟式手術, またMetreuryseによる人工妊娠中絶, 分娩誘導としてのBougierungを行なった患者について尿中Pregnanediol(以下PGと略す)を測定した. 正常月経周期, 妊娠各週のPGについては諸家の報告と大体一致しており, また人工妊娠中絶後7日目には全例尿中PGが消失した. 分娩後よりも分娩前のPG値について興味があるが, 分娩が容易に行なわれた例では, PGは分娩前から比較的低値で, 減少傾向が著明であるが, 分娩が遷延し, 頸管の軟化開大が少ないものでは, PG値は分娩前に比較的高値で減少傾向が緩徐である. 分娩発来機序に関しては未だ決定的なものは知られていないが, 分娩誘導を行なったものは自然分娩に比べて分娩前の尿中PGの変動を知るのに臨床的に便利であり, Metreuryseは妊娠中絶ではあるが, 尿中のPG消長を知る上に好都合である. 私はこれらの尿中ホルモンの測定によって分娩発来機序の一端を推定せんとしたが, 同時測定の尿中estrogen特にestriolがブジー, メトロイリンテル挿入後増量するのに反して, PGは急速にまたは緩徐に減少していくことを認めており, この事実が分娩開始と何等かの関連を有するものと推測した. 妊娠中のPGが32週前後にピークがあるのに比し, estriolはそれ以後の末期に急増する事と考え併わせて興味深い.
- 1965-01-01