晩期妊娠中毒症患者に於ける体液量
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概要
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妊娠中毒症患者の体液変動を知る事は, 妊娠中毒症の病態生理を解明する上にも又, 治療上にも重要である. そこでAntipyrine, Rhodan-Na, Evans-blue等を用い, 純粋型, 混合型中毒症及びその後遺症患者等について, 体液諸相を測定し, 健康非妊婦, 正常妊婦と水分代謝の面に如何なる相違があるか, 更に臨床症状や治療効果との関係等を検討して次の結果を得た. (1) 純粋型中毒症患者は混合型よりも全体水分量, 細胞外液量, 組織間液量及び細胞外総Na量が増加しているものが多い. (2) 中毒症患者の浮腫は, 組織間液量の増加によるもので, その際Naが組織内に貯溜し血管内水分が組織内に移動する. その結果血漿量は減少し, Ht値は増加して血液は濃縮され, 腎血流量は減少し, 腎機能は低下して, Naや水分の排泄は遅延する. (3) 利尿降圧剤の使用で細胞外液量は減少するが, 循環血漿量, 血漿水分量も減少し, Ht値, 血漿蛋白量は増加する. 血漿量減少例では利尿降圧剤による利尿効果が少く, Apresolineによる降圧効果が強い. 利尿降圧剤や副腎皮質ホルモン剤による循環血漿量の変動と血圧変動との間には相関々係が認められる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1964-09-01