人胎盤絨毛組織における脂酸代謝とこれに及ぼす性ホルモンの影響
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概要
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^<14>C-脂酸を基質として添加した場合の胎盤絨毛組織, 中期胎盤組織, 娩出胎盤組織, 晩期妊娠中毒症娩出胎盤組織の代謝様相, ならびにこれらに対するsteroid hormon添加の影響を観察した. 1. 絨毛組織の酸素消費能は, 酢酸の添加において内在呼吸より14%の増大を示し, オクタン酸を添加したときは内在呼吸と同程度であった. これらの酸素消費能は胎盤組織の成熟に従い減少していく. 2. estradiol, testosteronは脂酸を基質とした場合の酸素消費能を増大し, progesteronは減少させる. 3. 脂酸を基質とした場合のアセト酢酸の生成は少ないが, 同様に妊娠の進行と共に減少する. アセト酢酸の生成に対してはホルモン添加の影響はみられない. 4. 絨毛組織における酢酸よりの炭酸生成は非常に高く, ブドウ糖よりの約倍量であり, オクタン酸よりの炭酸生成は酢酸の場合の1/3量であった. 中期胎盤における炭酸生成は絨毛組織の70%に, 娩出胎盤, 晩期妊娠中毒症娩出胎盤においては絨毛組織の1〜2割程度に低下する. estradiolの添加は炭酸生成を増大し, progesteronは減少させる. 5. 酢酸よりのグリコーゲン生成は絨毛組織においてブドウ糖よりのそれの約1/4量であり, 妊娠の進行と共に減少する. これに対するホルモン添加の影響はみられない. 6. 酢酸よりの脂質生成は絨毛組織において高く, ブドウ糖のそれの1.5倍であったが, 妊娠の進行と共に減少した. オクタン酸よりの脂質生成も高く, 絨毛組織なこおいては酢酸の場合の5.5倍であった. 脂質生成に対するsteroid hormon添加の影響は, 絨毛組織においてestradiolを添加した場合にのみ増大した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1964-09-01
著者
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