Polyene抗生物質の体内分布に関する研究
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概要
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抗菌性抗生物質の体内分布に関する報告は枚挙にいとまがないが, 抗真菌性抗生物質に関するそれは少く, 明確にされない問題が多い. 著者はPolyene抗生物質の中で, Amphotericin B及びTrichomycinを選び, 微量定量法により, その濃度測定に成功し, 両薬剤の生物学的諸性質及び生体内分布を比較した. 実験成績を要約すると次の通りである. 1) 試験管内実験 : C.alb.に対する両薬剤のM.I.C.はカツオエキス培地中では酵母エキス培地に比し, Amphotericin Bでは2/50に, Trichomycinでは1/200に減少し, カツオエキス培地を使用することにより感性曲線の感度が増強され, 寒天層中の拡散度はAmphotericin Bに比しTrichomycinが大であり, 溶血作用はTrichomycinがより強いが, 血清の添加及び血球量の増加により著しく弱められ, Trichomycin不活性化家兎血漿はTrichomycinにのみ影響を及ぼし, 他のPolyene抗生物質には無影響である. 2) 生体内実験 家兎静脈内投与後の体内分布を検討し, 両薬剤にほゞ等しい血中濃度獲得性を, 尿中排泄でAmphotericin Bにより高い排泄率を, 各***内濃度で両剤とも子宮に最高値を認め, 経口投与後では, あらかじめ胃内を中和した場合は, 無処置の場合に比し, Trichomycinでは約10倍の血中濃度が得られ, Amphotericin Bでは無処置の場合は陰性であり, 尿中排泄は両剤とも少なく, ***内濃度は測定し得ず, 腟内投与後の血中濃度は微量ではあるが測定可能であり, 各***特に腟壁への滲透作用を認めた. 人体にTrichomycinを経口投与した場合は, 2〜4時間後に最高値を得, 腟内投与後では, 血中にTrichomycinを微量に認め, 腟壁内濃度については, Amphotericin Bに, より長い持続性の傾向を認めた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1964-06-01
著者
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