新生児の脳波に関する研究 : 覚醒時と睡眠時脳波の差異について
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概要
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一般に新生児脳波は睡眠時と覚醒時との差異について明らかな区別はつけ得ないという報告が多い. 今回慎重且つ長時間の脳波描写に於いて覚醒時でしかも体動, Artifactを認めない新生児脳波を生後第1日目, 第3日目, 第7日目の各生後日数について, 左右前頭, 頭頂, 後頭部の単極誘導を行い, 睡眠時脳波との差異を検索した. 覚醒時脳波の生後第1日目は連続性の乏しい低振巾な6C/S前後の徐波と8c/s〜20C/sの速波との混合波形であり, 3c/s前後の徐波はほとんど見られない. 生後第3日目になるとやゝ律動的となるが, 3C/S前後の徐波は前頭部, 頭頂部で時々認められるのみで低振巾である. 生後第7日目になると徐波の出現が増し8〜13C/Sの律動波がその上に重畳しているが, 睡眠時脳波に比べると低振巾である. 睡眠時脳波の生後第1日目の脳波形は不規則な3C/S前後の徐波が単一或いは数個連続して出現し, その上に速波が重畳し, 徐波間に5〜8C/Sの波がみられた. 生後第3日目になると徐波数も増し, 振巾も50〜80μVを示す. 前頭部, 頭頂部は後頭部に比し波形優位である. 生後第7日目は徐波の連続度を増し, 徐波の振出も増し, 若干の速波を重畳し, 律動的になる. 次に睡眠時と覚醒時脳波の周波数度数分布図を作成し比較すると, 覚醒時は各生後日数共10C/S前後の所にPeakがあり, 睡眠時は5〜8C/Sの所がPeakであり, 各生後日数共睡眠時は覚醒時に比し低周波数帯域に偏している. 次に生後3日目の新生児について覚醒時→入眠時→睡眠時の連続描写を行ったが, 覚醒時は低振巾波形を示し, 徐波は余り見られないが, 入眠時脳波は前頭部に11〜12C/Sの紡錘波が0.5〜1.0secの持続で所々に出現している. 更に完全な睡眠状態になると高振巾の徐波が多数出現し, 明らかに睡眠状態の波形を示している. 新生児脳波の睡眠時と覚醒時脳波の差異について明らかな区別はつけられないと云う報告が多いが我々は以上の結果より区別し得ると考える.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1964-11-01
著者
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