コルポスコープによる子宮頚癌早期診断に関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
昭和35年6月1日より昭和38年5月31日迄の満3年間に, 札幌医科大学産婦人科外来を訪れた患者の中から子宮腟部ビランを有する5500例について, コルポ診を中心として細胞診, 組織診の三者併用による子宮頸癌の早期診断の結果を述べた. 検診患者の年令的分布を見ると, コルポ診的異常所見群のピークは31才より40才に, 癌性潰瘍群のピークは41才より56才である. 受診患者の自覚症状は不正出血が第1位, 次いで帯下, 接触出血, 無症状等で, 不正出血に接触出血を併せた***異常出血は約半数を占めている. 且この中で異常所見を認めたものは約24%であった. 尚無症状のものの中, コルポ診的異常所見が約10%に見られた. コルポ診的異常所見の発現頻度に就いては, 良性所見は85%で異常所見は15%であった. 血管像に関しては特に異型血管は568例で全例の10.3%であるが, 侵入癌294例中95.9%の282例に異型血管が観察され又異型血管568例中49.6%の282例が侵入癌であった. 妊娠婦人183例ではコルポ診的良性所見は変換帯42%で, 異常所見では基底様部, 分野様部が比較的多く癌性潰瘍が2例見出された. 不妊婦人155例中, 良性ビラン所見は92名, 異常所見11名, 52例は原生上皮であった. 異常所見中, 癌性潰瘍はなかった. 癌患者に於けるコルポ診と細胞診の診断率を見るとコルポ診は, 組織診で癌と診断された356例中336例 (94%) を単独診断し, 細胞診は347例97%を診断している. この各々の陰性診断は一方では頸管癌, 他方では上皮内癌の如く, それぞれの欠点を補い長所を生かせば両者併用による診断率は356例中354例で99.44%となる. 以上の観察からみてコルポ診は子宮頚癌早期診断の為, 細胞診, 組織診と併用して, 高度の診断率を上げ得るものと考えられる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1964-10-01
著者
関連論文
- 腟式子宮全剔徐に関する研究 : 腟式単純子宮全剔徐1400例及び子宮頸癌の系統的腹膜外広汎性淋巴節廓清並びに系統的腟式広汎性子宮全剔徐140例
- 札幌医大産婦人科外来に於ける子宮頸癌の早期診断
- 札幌医科大学産婦人科教室に於ける最近5年間の子宮筋腫の臨床的観察 : 特に腟式術式の考察
- 子宮腟上部切断術後の骨盤結合織炎について
- コルポスコープによる子宮頚癌早期診断に関する研究
- 2. 婦人***腫瘍の電子顕微鏡的研究(第9報) : 扁平上皮化生の微細構造
- 2.婦人***腫瘍の電子顕微鏡的研究(第9報)扁平上皮化生の微細構造