妊娠時とくに晩期妊娠中毒症の血清酵素Patternの変動
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概要
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血清中の諸種酵素レベルと各種疾患との関係が最近注目されるようになった. そこで正常妊婦及び晩期妊娠中毒症の血清酵素を測定し, これらを一括した酵素像を作図し, その綜合像について解析した. 測淀した酵素は Sorbitlo dehydrogenase (SDH), Aldolase, Lactic dehydrogenase (LDH), Glutamic Oxalacetic Transaminase (GOT), Glutamic Pyruvic Transaminase (GPT), Malic dehydrogenase (MD-H), Creatin Phosphokinase (CPK), Leucin Aminopeptidase (LAP), Amylaseなどである. MDH, LAPは妊娠経過に伴ない漸増傾向を示した. LAPは産褥で急激に低下するが, MDHは産褥でもしばらくの間は低下しない. 中毒症の場合には, 同じ妊娠第10ヵ月で比較すると, Aldolase, LDHは上昇傾向, MDHは変動が大きく一定の傾向を示さず, SDHは上昇傾向を示すが, やはり変動が大きい. CPKは有意の上昇を示し, LAP, GOT, GPTは著変なく, Amylaseは逆に低下した. 綜合像で検討してみると, 晩期妊娠中毒症の場合は, 一定の酵素像を示した. 即ちSDH, CPK, Aldolaseの上昇及びAmylaseの低下した酵素像である. この傾向は重症となる程強く, 子癇の場合は一層著明となる. 以上の事から, 上記諸酵素を測定することは意義があり, 特にその綜合像を検索作図し綜合的に評価するときは, 臨床上, 中毒症, 子癇の早期診断及び治療に大いに役立つものと考える.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1964-10-01
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