未熟児哺育温度に関する研究
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概要
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新生児特に未熟児の哺育については多数の条件があるが, なかでも栄養と環境の問題とは特に慎重でなければならない. しかしながら現在までの報告をみても, 従来の方法が最良且つ適正な方法であるという結論には未だ至っていないようである. そこで, 私は環境問題のうち特に哺育温度を中心として, その変化の皮膚温及び直腸温に及ぼす影響, 更に基礎代謝, 窒素平衡及び体重消長等に対しての反応を観察した。未熟児を生時体重2000g未満のものと2000〜2500gのものとに分け, 哺育温度を21°〜22℃, 25°〜26℃, 30°〜31℃の3段階に分け, 湿度60〜70%のもとてそれぞれ哺育した. 生時体重2000g未満の未熟児では25°〜2℃C,2000〜2500gの未熟児では21°〜22℃で哺育した場合に生理的体重減少は少く, 回復日数は短縮し, その後の体重増加率に好結果を与えた。窒素平衡については, 全般的にみて個体差が強く一定していなかったが, 生後10日間までの1日平均N蓄積量は, 21°〜22℃で哺育した場合は約140mg/kg, 25°〜26℃で哺育した場合は約145mg/kg, 30°〜31℃で哺育した場合は第17生日まででも負の平衡を示した. 直腸温及び皮膚温については, 生時体重2000g未満, 2000〜2500gの未熟児共に25°〜26℃次いで21°〜22℃で哺育した場合に逐日変動が少く30°〜31℃で哺育した場合に最も変動が大きかった. 基礎代謝量 (Cal/m^2/h) については, 30°〜31℃で哺育した場合が最も大きく25°〜26℃, 21°〜22℃哺育と次第に小さくなり, しかも30°〜31℃で哺育した場合には, 生時体重2000g未満の未熟児では2000〜2500gの未熟児に比べ代謝量の逐日変動が大きかった。以上を総括すると, 全般的にみて2000g未満の未熟児は25℃前後, 2000〜2500gの比較的大きい未熟児の場合は22℃前後の従来に比べ比較的低温環境で哺育し, 安定した体温に保つことが重要であり, またこの環境温が最も負担が少く発育に適温であると考えられる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1964-10-01
著者
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