成熟婦人卵管粘膜上皮細胞の電子顕微鏡的研究
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概要
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成熟婦人卵管を峡部, 膨大部, 及釆部に区別し, 各々の月経期, 卵胞期, 黄体期の粘膜上皮細胞の変化について, 超薄切片法により電子顕微鏡的に観察を行った. 人卵管粘膜上皮には, 繊毛細胞, 分泌細胞及びβ-無繊毛細胞の3種の細胞を識別しえた. 繊毛細胞の繊毛構造は2本の中心軸と9本の側軸からなり, 側軸は細胞質中に延長して基底小体を形成し, その尖端部より約500Aの周期性横紋構造を有する繊維束を認めた. 細胞質は明るく, 糸粒体は大型で, Golgi野の発達もよい. これらの繊毛細胞は周期性の変化を示さない. 著明な周期性変化を示すのは峡部分泌細胞で, 卵胞期には円形小型であった分泌顆粒は黄体期になると大型となってその数を増し, 核も不正形となり, 核膜は鋸歯状を呈する様になる. 又小胞体も黄体期には強く拡大を示し, 細胞質基質は綱目様に隔壁状となる. 細胞質は高く腔に突出し, 遊離縁に押し出された分泌顆粒が管腔内に滴下される如き像が多数見られる. 月経期分泌細胞には, 細胞質の所々に小型の分泌顆粒が散見されるが, 一般に分泌顆粒の認められる細胞は少ない. 釆部及び膨大部 無繊毛細胞は少数の細胞質突起を出し繊毛を有しない. 細胞質内には分泌顆粒を認めず, 又性周期に伴ない殆んど形態的変化を示さない.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1963-11-01
著者
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