羊水分析による胎児の成熟度指数
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概要
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妊娠33週以降で,陣痛の発来しない,規則正しい月経歴を有する,正常妊婦100名,中毒症24名,糖尿病3名を対象として,経腹的に羊水を採取し,羊水情報より得られる胎児の成熟度を判定するため,簡易で,しかも,正確に成熟度を示す指標として,Et濃度,クレアチニン濃度,脂肪陽性細胞出現度,ビリルビン濃度を測定し,これ等4種の値を総合的に判定し,成熟度指数を考案した.なお,胎児の成熟度の判定は,複雑であるが,従来の慣習に従つて,生下時体重2500gを基準にし,それ以下を未熟,それを越えるものを成熟とした. 1) 以上4種の各々について,危険値,警戒値,安全値を求め,それぞれ,指数を0, 1, 2点として評価した. 2) Etの危険値は,0.6mg/L以下,警戒値は,0.6〜1.0mg/Lの間,安全値は,1,0mg/L以上とした. 3) クレアチニンの危険値は,1.5mg/dl以下,警戒値は,1.5〜2.0mg/dlの間,安全値は,2.0mg/dl以上とした. 4) 脂肪陽性細胞の危険値は,10%以下,警戒値は,10〜20%の間,安全値は,20%以上とした. 5) ビリルビンの危険値は,0.06以上,警戒値は,0.03〜0.06の間,安全値は,0.03以下とした. 6) 以上の数値を分析する事により,3点以下を未熟,4点以上を成熟とした. 本指数に依れば,適中率は,正常群では,99%であり,合併症群では93%で,満足すべき臨床的有用性を認めた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1975-01-01