Amberlite XAD-2 による羊水中 estriol の測定法並びにその臨床的応用について
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概要
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最近, 妊娠分娩管理の一方法として, estriol (以下 Et と略す) 測定がおこなわれ, 胎児-胎盤機能を知る上での有力な指標として, 脚光を浴びているが, 母体尿中 Et 測定には, 24時間の蓄尿が必要であり, 急を要す場合には支障をきたす. また, 母体に腎及び肝疾患がある場合には, その測定値は, 必ずしも児の胎内環境を反映しない. 一方, 羊水中の Et 測定は, ガスクロマトグラフィーによるもので, その測定操作には, かなりの煩雑さと困難さがある. 今回, 我々は, これらの欠点を補うために, 神戸川らによつて開発された E_3 キットを応用し, その改良をおこなつて, 羊水簡易測定法を確立した. すなわち, 測定操作前に, 羊水中に存在する脂質の脱脂をおこない, 抽出方法に改良を加えた. 63名の妊婦を対照に, 経腹的羊水採取をおこない, 羊水中の Et 濃度を測定した. その基礎的, 臨床的実験により, 次の如き成績が得られた. 1. 本法の再現性は良好であり, 1.35μg 時の測定誤差の CV は4.9%であり, 0.5μg では17、4%であつた. 2. 本法の回収率は77%であつた. 3. 母体尿との相関係数は0.77であつた. 4. 生下時体重との相関係数は0.75であり, 2mg/l 以上値では, 胎児は3,000g以上の成熟児であると考えられる. 5. 0.5mg/l 以上値では, 胎児は正常であることが推定でき, 0.1mg/l 以下値では, 胎児に重大疾患を伴つていると考えられる. 従つて, 妊娠末期に, 羊水の下濃度を測定することにより, 迅速且つ的確に, 胎児一胎盤機能並びに胎児の成熟度を把握できると考えている.
- 1973-06-01
著者
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