薬剤の胎盤通過性に関する基礎的研究 とくに fetal distress に対する経母体的治療の意義について
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概要
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母児間の物質交換臓器として胎盤は未解明の領域であり, 各物質によりその態度を異にする特殊性を有し, さらに胎児血行に入った物質の胎児臓器における態度も成人のそれと著しく異なるとされている.著箸は主として fetal distress の治療ないし診断に際して重要とされ, 現在試験的に用いられている各種物質について, その胎盤通過性および胎児各臓器への移行を妊娠マウスにおいて放射性同位元素を利用して検討した.その結果 (1)グルコースの胎児移行性は良好と考えられ, 母児ともに均等放分布がみられた. fetal distress に際して, エネルギー源としての高張糖液経母体的投与は有効であると考えられる.(2)キシリトールは母体脳, 肺に取り込みが強くみられ, 胎児移行はグルコースに比べ劣ると考えられる.(3)重曹は投与後30分では, 母体側に比べ胎児側で高値に認められ, 胎盤にも barrier の存在は認められなかつた.(4)コルチゾールはばらつきが大きく一概には言えないが, 胎児への移行は良好とは言い難い.(5)ノルエピネフリンは胎児への移行は非常に少なく, Neo-synephrine Test の有用性の一つの裏付けとなつた.又, 母体脳への取り込みが非常に少ないのに対し, 胎児脳へは比較的多く, 胎児側での脳児側の未熟性が想像される.
- 1973-12-01
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