子宮Schultz-Dale反応に及ぼす性ステロイドの影響
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概要
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一種のhomograftと考えられる妊卵が,子宮に着床して妊娠が成立した場合,免疫学的機作の影響をうけることが考えられる.著者は,妊娠維持作用のあるestrogen, progestogenが,これに及ぼす影響を免疫反応を基盤とする子宮収縮であるSchultz-Dale反応を中心として検討を加えた.その結果は次のとおりであつた. 1. 抗ラット胎盤家兎血清を,妊娠ラットに静注すると,胎盤母体面に出血,壊死,細胞浸潤がおこり,一部胎仔の流産が認められた. 2. モルモットをBSAで免疫し,3週間後にその子宮を取り出し,Schultz-Dale反応を行なうとBSA添加によりanaphylactic contractionを認めた. 3. estradiol dipropionate 1mg/week (E群),あるいは,estradiol dipropionate 1mg/week+17α-hydroxyprogesterone caproate 12.5mg/week (E+P群),それぞれ3回投与群では,血清抗BSA抗体価は,対照群と同様上昇を示したが,子宮Schultz-Dale反応は認められなかつた. 4. 抗BSA抗体をモルモットに静注し,受動免疫を行なつた場合にも,子宮Schultz-Dale反応はE, E+P群では抑制をうけた. 5. 免疫吸着体を利用して精製した抗BSA抗体にglucose oxidaseを結合せしめ,BSAを仲介とする間接的酵素抗体法によつて,子宮組織の抗BSA抗体の存在を検討した結果では,ホルモン投与の有無にかかわらず子宮組織に抗体の存在を認めた. 6. ホルモン投与群におけるSchultz-Dale反応の抑制は,mediator特にhistamine releaseの減少にその理由を求め得るように思われた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1972-04-01
著者
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