Vaginal Cytogramによる妊娠初期切迫流産の予後判定に関する研究
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概要
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妊娠初期(妊娠第16週迄)切迫流産患者のVaginal Cytogram(腟壁細胞診分析)の検討により,その予後判定を試みた.即ちPapanicolaou EA 50染色を行つた腟壁スメアの上皮細胞につき,好塩基性核濃縮表層細胞指数(Basophilic Karyopyknotic Index, BKI;好酸性表層細胞は観察対象外とす),中層細胞及び深層細胞の百分率並びに中層細胞につきNWC Scoreを決定し,これを深層細胞/中層細胞-NWC Score/BKIの順に表現した.腟壁スメアはgood, borderline及びbadの3種類に分類することとし,その判定基準はそれぞれgood smear(深層細胞0, BKI 20%以下,NWC 5以上,中層細胞70%以上),borderline smear(以下同順に,4%以下,20〜30%, 4〜6, 70%前後)及びbad smear(5%以上,30%以上,4以下,70%以下)とした.この判定規準を用いて切迫流産患者につきVaginal Cytogramによりprospective resultをみると,72.3%の予後適中率を得ることが出来た.尚切迫流産患者17例につき,尿中,P-diol, E_3及びHCG値を測定して,これら症例のVaginal Cytogramとの関連を検討すると,上記の判定基準は大局的には尿中ホルモン排泄値と明瞭な相関を示すことを知つた.臨床的には妊娠初期切迫流産の予後判定には,hormonal assayよりもcytologic methodの方がむしろ簡便・迅速に予後を推定し得るように思われ,上記基準の妥当性について実証した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1972-04-01