臍帯血におけるpH, ガス分圧と仮死および血液凝固-線溶能に関する研究
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概要
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新生児の臍帯血のpHおよびガス分圧と凝固線溶能とを測定し, アプガー指数を指標とした場合の新生児の一般状態, 特に仮死との関係を調べて, 次のような成績を得た. 1. アプガー指数4以下と8以上との2群の臍帯血のpHやPco_2には有意差が認められた. すなわち, アプガー指数4以下群には, 臍帯血pHの低下とPco_2の増加とが認められた. しかし, Po_2にはその二群の間に有意差はみられなかつた. 2. 臍帯血のpH, Pco_2およびPo_2の低値群と高値群との間に, トロンボテスト値, 線維素原量およびプラスミノーゲン量に有意の差は認められなかつた. 3. トロンボテスト値の低値群と高値群との間にはPco_2に有意の差が認められたが, 線維素原量やプラスミノーゲン量の低および高値群と, pHやガス分圧との間には有意差は認められなかつた. しかし特殊例 (例えば骨盤位分娩例で著明な仮死を伴つていたもの) のなかには, 線維素原量に著明な低下を認め, Disseminated intravascular coagulationの発生を思わせるものがあつた. 4. 実験的に血液にin vitroで炭酸ガス, 酸素, 乳酸および重曹などを負荷し, 血栓弾性図で血液の凝固能を調べてみると, pHの低下やPco_2の増加によつて, 血液の凝固能はin vitroでは亢進することがわかつた. 5. 家兎に乳酸を持続注入し, アシドーシスを生ぜしめると血管内凝固がおこり, 線溶能が亢進することが推測された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1972-03-01
著者
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