妊娠中毒症浮腫のコンプライアンス計測による研究
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概要
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浮腫は重要な臨床徴候の一つであるがその量的表現が難しいため, 今日まで適格な表示方法がない. 浮腫は皮下組織に体液が貯溜した状態であるから, 脛骨稜上の指圧による圧痕の程度でみている. 指で押して凹む度合をみるのは, その部分の組織のコンプライアンス値を求めることと深い関係があるから, その測定値を求めることを試みた. すなわちコンプライアンス計測装置として発振振動子の周波数変化から, 脛骨稜上のコンプライアンス値を求めた. こゝに考慮すべきことは, 生体のコンプライアンス値は筋肉, 脂肪など軟部組織のある部位ではその値が変動しやすく, さらにまた個人差もあつて測定値に信頼がおけないことである. しかし本装置により, 額, 上肢, 大腿, 下肢などのコンプライアンス値を測定してみると, 骨と皮膚が直接隣接する額, 下肢では他の部位に比してコンプライアンス値が明かに低くその値も僅差であり, 浮腫の有無を検出するのに適していることが解つた. 本装置は繰返し測定を重ねてもその値はほとんど同一であり, 信頼に値するものである. その測定値は妊娠中毒症浮腫の程度をよく表現し, 指圧による圧痕の程度とよく一致している. さらにまた予後とくに後遺症との関係についても, 従来からいわれている体重増加からの浮腫発生発見より優れた成績を得ることができた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1972-03-01
著者
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