子宮組織における蛋白合成に対する卵巣性ホルモンの影響
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概要
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本研究は, estrogenおよびprogesteroneの子宮組織蛋白質合成に及ぼす律速性を取り上げ, 1) 蛋白合成素材の調整の面より, また 2) 蛋白合成系に直接関与する各因子について, 検討を加えたものである. まず投与したamino酸およびglucoseの子宮組織へのdistribution (in vivo) と, 切り出した組織を用いてのuptake実験においてhormoneの影響を観察してみたが, [○!a] estradiolの投与は子宮組織におけるamino酸, glucoseのdistributionおよびuptakeを著明に促進し, それは細胞膜の物質透過におけるactive transportの生物学的機構の場で, 促進的に作用するとの結論に達した. [○!b] 一方progesteroneはestrogenの作用に対し, 抑制的に作用した. 次に, glucoseが蛋白質へ組込まれる前段階としてのamino酸への転換速度を観察したが, その結果 [○!a] estrogenの影響下に子宮組織におけるglucose→amino酸へのconversionは著明に亢進する. [○!b] progesteroneの添加投与は, そのrateを抑制することを認めた. 2) に関しては, cell free systemでの蛋白合成を検討してみたが, まず [○!a] 蛋白合成過程の初期のstepであるamino酸活性化因子 (pH 5 enzyme) については, estrogen投与後の早期における誘導効果は認められなかつたが, 18時間後には有意な活性上昇を認めた. [○!b] 蛋白合成の場としてのribosomeの量的変化を測定してみたが, estrogen投与後3時間目には, それ程大きな変化を認めず, 18時間後には約2倍の増加をもたらした. [○!c] ribosomeの一定量当りの蛋白合成能を各実験群について比較観察したが, endogenous m-RNAを除いたpply-U-phenylalanine系においてもestrogen効果が現われ, ribosomeの蛋白合成capacityが増加することを認めた. [○!d] desoxychol酸処理を行わないribosomeを用いた実験においては処理後のribosomeに較べhormoneによる効果がより著明に認められた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1972-11-01
著者
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