胎児心電図と胎児頭皮末梢血及び臍帯血の酸塩基平衡に関して
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概要
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この研究の目的は, 最近問題となつている胎児頭皮末梢血及び臍帯血の酸塩基平衡が, 胎児心電図に如何なる関係があるか, 又胎児心電図の波型にどのように変化をもたらしているかを検索することにある. 研究方法は福島県立医科大学附属病院に昭和43年8月から昭和44年1月までに入院した産婦中80例を無作意的に選出し, 腹壁より胎児心電図を測定するとともに胎児頭皮より末梢血を採取, 更に分娩後臍帯博動が停止しない内に臍帯静脈より臍帯血を採取してアストラップ微量定量計を使用し酸塩基平衡を測定した. その結果は次の如くであつた. 1. 臍帯血pH, pO_2は胎児の頭皮末梢血のそれより高値を示した. pCO_2の場合は児頭血の方が臍帯血のそれより高値であつた. 2. Apgar指数と酸塩基平衡の関係ではpH=7,200を基準とすればApgar指数10と6の間にはX^2_c=4.25>P=0.05で有意の差があつた. またApgar指数10〜9とApgar指数8〜6の間ではpO_2/pCO_2に関してX^2_c=5.32>P=0.05で有意の差が存在した. 3. 波型でS波振幅が大きな割合を呈するようになると, 即ちRS型, rS型, S型となるとAcidosisに傾いて行くようである. pO_2の場合も同様にしだいに低値を呈し, pCO_2はしだいに高値を呈するようになつた. 4. pO_2/pCO_2=0.60を基準とした場合, 児頭血ではR型とRS型の間にX^2_c=9,651>P=0.01で有意の差が, 臍帯血のそれではX^2_c=7.243>P=0.01で有意の差が存在した. pH=7.200を基準とした場合にもR型とRS型の間には児頭血でX^2_c=16.73>P=0.001で, 臍帯血においてもX^2_c=13.82>P=0.001で有意の差があつた. 5. いわゆる胎盤機能不全群と正常群の間にはpO_2/pCO_2ではX^2_c=4.14>P=0.05で, pHでもX^2_c=6.03>P=0.02で有意の差が存在した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1972-10-01
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