IUDの子宮内膜および子宮内分泌物に対する影響について
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概要
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IUDが子宮内膜および子宮内分泌物の周期的諸性状に対して, どのような影響を及ぼすかを長期基礎体温観察例について検索するとともに, その内分泌学的背景を追求した. 1) 子宮内膜の形態学的周期に対するIUDの影響を粘膜上皮, 子宮腺, 子宮腺腔分泌物, 間質の所見を基準とし, さらに子宮内膜日付け表 (EMG) を応用して観察したが, 著明な周期の「ずれ」は認められなかつた. 2) IUD装着群における子宮内膜酸性ムコ多糖体は非装着正常子宮内膜において減少ないし消失する着床期において逆に増加し, その傾向は特に粘膜上皮において著明であつた. 3) 受精卵着床に密接な関係をもつと推測される子宮内分泌物について白血球の出現状況を検索した結果, IUD装着群では全子宮内膜周期を通じて非装着群に比較して著明な増加が認められた. 4) IUD装着群における基礎体温高温相面積指数 (KI), 尿中Estrogen値, Pregnanediol値は正常範囲内の変動を示したにすぎなかつたが, 腟脱落細胞の核濃縮指数 (KI), 頚管粘液量では非装着群に比較して減少傾向が認められた. 上述した着床期子宮内膜酸性ムコ多糖体の異常出現, 子宮内分泌物における白血球の増加傾向はIUD装着者においてほぼ普遍的にみられる変化であり, IUDの避妊機序を解明するひとつの手がかりを提供しているといえる. またかかる表在性の変化には軽度の浸出性炎症に由来するSchleimsubstanzの増加が関与していると考えられるが, その変化の強弱を左右する因子として子宮内膜の反応能力もみのがすことは出来ない.
- 1972-10-01
著者
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