超音波ドップラ法による胎児心拍数連続記録装置に関する研究
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概要
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従来, 分娩監視装置と云う名のもとに胎児心電信号あるいは胎児心音信号を利用した胎児心拍数の陣痛との同時連続記録装置が開発され, 臨床的に応用されてきている. しかしいわゆるfetal distressの診断のためにこの分娩監視装置が有用であり, 大きな期待を持たれていたにもかゝわらず臨床的応用面でこれが現在なお問題なしとされ得ないのは, これまでの心拍数記録法に多くの難点が残されているからに外ならない. 著者は今回, 胎児心拍信号として超音波ドップラ法で得られる心臓信号を用い, これにより胎児心拍数連続記録を行なう方法を新たに開発し, 従来行なわれている胎児心電, 心音による記録法と対比検討した結果, それらの持つ幾つかの欠点をかなりの範囲でカバーしうる優秀な記録法であることを認め得た. すなわち, 使用法が簡易で, 熟練を必要としないこと, 被検者に全く苦痛侵襲を与えないこと, 分娩第1期はもちろんの事, 第2期に於ても陣痛に障害される事なく明瞭な心拍数図の得られる事が大きな利点と云える. 又, 胎児心電, 心音による心拍数図との対比結果から見て, ドツプラによる心拍数図は基本的にこれまで検討されてきた心拍数図パターンの判読に新らしい基準を設ける必要はないと考えられた. ただし, 今回開発された装置では原理的に極端な徐脈時 (80心拍/分以下) においてmiss countする可能性がある. さらに超音波の胎児に及ぼす影響が十分に知られていないために長時間連続使用に問題がある事など, 今後の解決されねばならない大きな課題が残されている.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1972-10-01
著者
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