抗ゴナドト口ピンの臨床的研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
PMS剤を無排卵の治療に使用すると抗ゴナドトロピンが発生するということは以前より知られていたが, ヒトにおける具体的なPMS抗体についての系統的実験はあまりないのでこの点について研究した. 不妊婦人28名に対しPMS剤を筋注し投与前および投与後1週間毎連続して抗体産生の推移を赤血球凝集反応で追跡した. その結果PMS5,000〜10,000I.U.の治療量1クール後7〜14日頃より抗体出現がみられた. 更に4週間毎の連続投与することにより抗体の潜伏期の短縮化と上昇がみられ, 特に3クール連続投与後に著明な上昇を示す例がふえ, 持続の延長がみられた. 抗体価と臨床面についてみれば, 抗体価1,280倍以上の時に排卵抑制, 遅延傾向が認められた. PMS投与婦人のBBT曲線, 各種ホルモン, 血清蛋白などについてみると, BBTの型と抗体価とは特に関係しない. 尿中エストロゲンは抗PMS値が上昇すると排卵時の上昇が鈍化する例もみられたが, 3クール以後特に著明となる17-KS, 17-OHCSの変化と共になおエストロゲンの再上昇をみる例もみられた. プレグナンジオール値は妊娠移行例のほかに著明な変化はなかった. NPN, コレステロールについても連続投与の影響は特にみられなかったが, 血清蛋白分屑についてはGlobulinが全体として増量し従つてA/G比の変化が特に3クール以後にその傾向を現わした. 他のゴナドトロピン製剤でそれぞれ家兎を免疫し, 各種電気泳勅などでその抗原性を調べると, 各々の製剤間の交叉反応は極めて弱かった. 以上の成績より人体の治療にヒト由来ゴナドトロピンを使うに過ぎることはないが, それにしてもなお純化に問題が残され, 異種ゴナドトロピンでもその抗体の存在, 内分泌系への影響を考えつつ使用することによりなお幾多の臨床面での効果が期待される.
- 1968-09-01
著者
関連論文
- 抗ゴナドト口ピンの臨床的研究
- 繊毛組織の incubation 実験よりみた gonadotropin 産生能
- 65. SFD妊娠の早期発見とその胎児胎盤機能について
- 88. 乳児の栄養に関する調査成績
- 43. 不妊患者に於ける子宮内膜像の検討
- 119. Clomiphene citrate 及びHMGによる排卵誘発
- 12. 抗ゴナドトロピンの臨床的研究