電離放射線照射の人白血球染色体に及ぼす影響
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概要
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電離放射線が人類に及ぼす危険度を評価するには, 身体および遺伝学的方面からの追求が必要である. 本障害を分子レベルから個体死迄に生ずる種々の異常と解釈した場合, そこには細胞レベルからの研究が必要なことは論をまたない. この意味から著者は子宮頚癌息者における電離放射線治療がどの様な危険度を有するかを, 末梢白血球染色体に及ぼす影響の面から追求し以下の結果を得た. 1. 照射終了後経口的に染色体検索を行ない, 正常健康人および治療前に比しいずれも高頻度に染色体異常を認めた. 2. 染色体異常の質的内容は, unstableな細胞は経過年数と共に減少するに反し, stableな異常細胞は長年月にわたり保有されることを知った. 3. 染色体異常の中, 構造異常を有する染色体は核型上の位置からA,B,C群に多発する傾向を認めた. 4. 電離放射線治療方法との関連から, Tele Co^<60>単独照射群より, Tele Co^<60>+Co^<60>腟・螢管内照射群に照射後3ヵ月以内に増加する傾向を認めた. しかし照射後6ヵ月以後においては照射方法による有意差を認めなかった. 5. 染色体所見を末梢血血液所見と照射後経過日数との関連から検討したが, 末梢血血液所見とは異なり, 染色体レベルにて高度の障害が末梢血リンパ球に長期にわたり持続していることを知った.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1968-06-01