分娩機転と5-Hydroxytryptaminとの関係
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概要
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分娩発来の機序について, 幾多の研究がなされているが, 今尚解明されていない. Tryptophan系代謝の妊娠時変動が, 古くから注目され, かつこの系の中間代謝物である5-Hydroxytryptamin (5-HT) に子宮収縮作用がある所から, 分娩時のTryptophan系代謝を追求することにより, 分娩発米機序を解明する手がかりの1つでも得ることが出来ればと, 1) 分娩時にTryptophan代謝系が如何に変動しているか. 2) Tryptophan→5-HT系代謝路に変化を与えた時, 子宮の収縮に如何なる影響がみられるか. を観察した. この結果, 分娩時の産婦尿に, Tryptophanから5-HTを経る代謝系の最終産物である5-Hydroxyindolsの排泄が著明に認められ, しかもこの増量のpeakは分娩前後の数時間内にあること, 及びTryptophan系代謝は分娩前から既に大きく変動していることを知った. 又5-HT生成を阻止するα-Methyldopa, Anivitamin B_6の前投与をうけた白鼡から摘出した子宮片の収縮力は減弱しており, 5-HT分解を抑制するNialamidや5-HT生成を助勢するVitamin B_6の前投与では, 子宮収縮が増強されていることを知った. 又このVitamin B_6の前投与は, 産婦の分娩経過にも, 好影響を与えていることを知った. 一方, 体内Vitamin B_6量と平行するといわれる血球Glutamate Oxalacetate Transaminase (G.O.T) に関しての観察で, 血球G.O.T低値即ちVitamin B_6欠乏群の分娩所要時間は, 血球G.O.T高値即ちVitamin B_6正常群の分娩所要時間に比し, 明らかに長時間を要し, 陣痛微弱による所謂 "難産型" の分娩経過をとり易いことが観察された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1968-05-01
著者
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