成熟雌性ラットにおける銅塩の作用機序に関する研究
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概要
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銅塩のラットの性周期に及ぼす影響を知るために, まず1%硫酸銅生理食塩水溶液を正常性周期を有するラットに静注した. 致死量に近い20mgkgの硫酸銅を静注すると, 発情期, 発情後期にのみに注射した時に高率に偽妊娠を起し得たが, 発情間期, 発情前期に静注した時には殆んど変化は認められなかった. 次に銅塩の作用部位を検討するために, 少量の銅塩粉末を下垂体前葉, 視床下部前方部, 中部, 後部に移植したが, 視床下部中部, 特に弓状核・内側核周辺に移植した時にのみ, 偽妊娠が認められた. 従ってラットでの銅塩の作用部位は視床下部中部であり, 恐らくProlactin inhibiny factor (PIF) の作用を弱めることにより, 下垂体前葉よりProlactinが分泌されるために偽妊娠が起るものと思われる. 猶, 静注例, 移植例でもEverettらのいう所謂delayed Pseudo Pregnancyは認められなかった.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1968-05-01