抗生物質の体内動態に関する研究 特に臓器, ***分布を中心として
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概要
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化学療法剤の薬理学的効率を知る指標は組織内および炎症巣内濃度でなければならず, 薬剤の臓器集中性が重要である. 著者はこれらの点を解明するため, 各種抗生物質筋注時のラット臓器内濃度, ***内濃度, 胎仔内濃度並びにヒト***内, 体液内, 炎症巣内移行を検討し, 血中濃度と諸臓器内, 膿瘍内濃度との関係, 薬剤別体内動態並びにこれらの吸収に及ぼす副腎皮質ホルモン, 蛋白分解酵素の影響を追究した. (1)抗生物質のラット臓器内濃度の時間的推移は血中濃度の消長とほぼ平行し, 臓器には腎が最も高濃度に証明され, ***への移行も概して良好である. (2)婦人***への移行は子宮, 卵管, 卵巣にほぼ同程度に血中濃度の1/2〜1/10の濃度分布がみられるが, 腟壁, 胎盤, 卵巣嚢腫, 卵管水腫内容への移行は少ない. (3)乳汁内, 羊水へは全般的に移行が少なく, 血中より遅れて出現する傾向がみられたほか月経血移行も立証し得た. (4)PC-G, KMの吸収に及ぼす副腎皮質ホルモン, 蛋白分解酵素の影響をプレドニソロン, α-キモトリプシンを用いて観察し, 副腎皮質ホルモン投与時の臓器内濃度の推移がα-キモトリプシン投与群に比し, 両薬剤間で異なることを認めた. (5)ラットに実験的皮下膿瘍を作製し抗生物質を投与すると薬剤の膿瘍内, 腫瘍壁への移行が副腎皮質ホルモンの併用により有意に高まることを認めた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1971-07-01