子宮内膜ポリープの臨床並びに病理組織学的研究
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概要
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近年,わが国においても臨床病理の発達普及に伴い,子宮頚癌,内膜癌の早期発見に大きな関心がよせられているが,子宮内膜ポリープに関しては,ほとんどその報告を見ない.増殖期,分泌期を経て月経性出血剥離に至る周期性変化を有する子宮内膜をその発生母地とする子宮内膜ポリープが,いかなる組織像を呈するか,即ち本症の腫瘍性と,内膜増殖症及び内膜癌発生との相互関係は興味深い問題である. 今回,昭和32年より同43年5月までの約12年間,当教室において子宮内膜ポリープと診断された141例中,特に子宮剔出例を中心として既存内膜との関係を臨床並びに病理組織学的に検索し,本症の腫瘍性及び内膜癌発生との相互関係について検討した結果,増殖期型19.6%,分泌期型41.2%,嚢胞性増殖症型23.9%,腺腫性増殖症型8.7%,筋線維腫性萎縮型6.5%の各組織型に分類し得た.即ち子宮内膜ポリープの60.8%は非腫瘍性であり,内膜癌との相互関係においては,特に腺腫性増殖症型の75.0%はポリープ,既存内膜ともに腺腫性増殖像を呈しており,腺腫性内膜増殖症,腺腫性増殖症型ポリープ形成,異形成変化,内膜癌へと発展する一連の過程が考えられ,各組織型中特に腺腫性増殖症型ポリープにおいては,臨床的にも細心の注意が必要であると思われる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1971-06-01