排卵障害婦人のHuman Menopausal Gonadotropin療法と内分泌動態に関する臨床的研究
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概要
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42例の排卵障害婦人に, 更年期婦人尿から抽出した人下垂体性gonadotropin H.M.G.を使用し, 26例61.9%の排卵誘発率, 及び7例16.6%の妊娠率を得た. 特に15例の第2度無月経症に用いて40.0%の排卵誘発率, 及び3例20%の妊娠率を得た. これは従来のものに比し極めて優れたものであり, 治療前の各種hormone測定により無効例を除外すれば治療成績は更に向上するものと思われる. これに対して尿中estrogenの急激なる上昇及び卵巣腫大, 胸腹水を伴うhyperstimulation syndrome (H.S.)は, 軽度の卵巣腫大から超鶏卵大迄腫大したものを含め61.9%とかなり高率に認められた. これらH.S.は尿中estrogenの経口的測定により可及的に防止出来る. 更にH.S.の発生原因を検索する目的でH.M.G.投与後, 試験開腹し, superovulationが惹起されている事を肉眼的組織学的に確認した. 一方, H.M.G.療法が不成功に終つた症例の多くは, F.S.H.が高値でestrogen値が低値のhypergonadotropic hypogonadismのhormone patternを示し, 卵巣性無月経と考えられ, H.M.G.療法から可及的に除外すべきであると考える. 又, 原発性無月経でhypogonadotropic hypogonadismの症例は3例中1例のみしか排卵に成功しなかつたが, 投与方法を工夫する事により更に排卵誘発率を高める事が可能かもしれない. いづれにせよ個々の症例の内分泌patternを的確に把握する事により, H.M.G.療法の窮局の目的を達成出来る事が明らかになつた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1971-05-01
著者
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