Paracervical Blockによる無痛分娩並びに局麻剤の血中濃度の推移に関する研究
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概要
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薬物を用いる無痛分娩は, 一般手術に対する麻酔と異なり, 種々の特殊な条件が要求される. 即ち, 毋児双方へ障害がなく, 且つ分娩機序の妨げとなつてはならない. しかし反面, 一般麻酔の如く, 完全無痛の状態を必要とするものではなく, 産痛を和げることにより充分に目的を達せられる. Paracervical Blockによる無痛分娩は麻酔手技が簡単で充分な無痛状態が期待でき, 更に毋児双方に対する安全性が高く, 分娩進行へ重篤な障害を及ぼさないと考えられたので, 臨床追試を行い, その局麻剤の毋体静脈血中濃度の推移と児に対する抑制状態とを併せ観察し, 次の如き結果を得た. 1. 分娩第I期の無痛法としてParacervical Blockが禁忌となるものは殆んどない. 2. Mepivacaine, Bupivacaineの使用濃度はそれぞれ1.5%, 0.5%が適当であつた. 又, 多くの点でBupivacaineが優れていると考えられる. 3. 陣縮が減弱される症例もあつたが, 分娩促進剤には良く反応する. 4. 分娩時出血量は対照群より少なく, 5%の危険率で有意差が認められた. 5. 本実験に用いた局麻剤の量では, 児への影響は少なかつたが, Block後約12%に胎児心拍数の減少を認めた. 何れも一過性で殆んどの症例は無処置のまま回復した. 6. 意識下の無痛法であるので, 麻酔管理が容易であり, 合併症も少なかつた. 以上, 前投薬を行つたBupivacaineによるParacervical Blockは分娩第一期の鎮痛法として極めて良い結果を示した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1971-05-01
著者
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