子宮頚部初期浸潤癌の臨床病理学的研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1960年から1967年までの7年間に, 慶応病院婦人科で子宮頚癌の手術を受け, 術後の系統的病巣復構検索で初期浸潤癌と確定した70例の浸潤型は, 滴下型と簇出型が60例(85.7%), 浸蝕型, 網状型, リンパ型などが10例(14.3%)で多くは上皮内癌を経過する型を示している. 細胞診, 腟拡大鏡診所見や礫状の拡がり, 占居など病巣の分布状態から浸潤型および浸潤の深さを知ることはできない. 広汎性子宮全摘出術45例(64.3%), 単純子宮全摘出術を24例(34.3%), ストルムドルフ手術を1例(1.4%)に行ない, リンパ節の廓清を行なつた57例に転移を認めず, 現在まで再発なく全例生存し, 34例はすでに5年以上経過している. 術前に腟拡大鏡を用いた狙い組織診あるいは円錐切除診で, 上皮内癌型の浸潤型を示し, かつ浸潤の深さ3mm以内ならば, 治療は腹式単純子宮全摘出術で充分と考えられる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1971-05-01