精製人胎盤多糖体様物質 (新KPS) の免疫血清学的並びに実験病理組織学的研究
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概要
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妊娠晩期中毒症の原因は不明であるが, 現在アレルギー説が重視されている. 加来教授は人胎盤多糖体様物質 (KPS) を抗原とするアレルギー性疾患であろうと考え, 各種の実験を重ねてこの考えに有力な支持を与えて来た. 著者はこの説を更に検討するために最近川崎, 木佐貫がまったく別個の新しい方法で人胎盤から多糖体様物質 (新KPS) を抽出したので, この新KPSで家兎を免疫し, その抗原性を沈降反応重層法, Ouchterlony法, 補体結合反応, タンニン酸処理赤血球凝集反応, PCA反応で実証した. 次いで新KPS免疫家兎の主要臓器の病理組織学的所見を検索し, 肝では循環障害による出血, 壊死, 腎では毛細血管系循環障害による病変を認め, アレルギー性病変近似の所見を得た. 更に妊娠中毒症患者血清中に新KPSに対する血中抗体をタンニン酸処理赤血球凝集反応で検出した, 以上の実験成績は妊娠中毒症を人胎盤多糖体様物質によるアレルギー性病変であろうする加来教授の仮説に免疫血清学的並びに実験病理組織学的に有力な根拠を与えたものと思う.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1968-11-01