妊娠マウスにおける燐酸エチル水銀の胎仔染色体障害作用と催奇形作用
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概要
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燐酸エチル水銀 (以下EMPと略) が胎児に及ぼす作用について, 実験奇形学・細胞遺伝学の立場より, マウスを用いて実験し, 以下の結果を得た. ICR-JCL系成熟雌性非妊娠マウスに対するEMPのLD_<50>は, 皮下投与で76mg/kgであった. 同系マウスの妊娠10日目に, EMPを水溶液として40mg/kg体重皮下投与し, 妊娠19日目に胎仔をとり出し, 蒸溜水投与群及び無処置群の胎仔と比較検討した. EMPは, 胎仔の発育を遅延させ, 31.6%の胎仔に口蓋裂を発生させたが, 他の外表及び骨格奇形は認められなかった. 又, 妊娠10日目に, 同様にEMPを投与し, 5日及び9日後胎仔を取出し, plasma clot cultureを応用して染色体を検索し, 妊娠19日目に無処置の母獣よりとり出した胎仔の染色体と比較した. unstableな異常染色体即ち, 裂孔, 切断及び断片染色体の出現頻度は, 無処置群3,2%に対し, 5日目群19.3%, 9日目群16.6%であった. ICR-JCL系マウスのY染色体は, 核板中最小で, 二次狭窄のない染色体であった. 又, 核仁karyotype及びidiogramの作成も試みた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1968-11-01