螢光抗体法によるNeisseria gonorrhoeaeの検出同定に関する研究
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概要
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1962年より6年間特殊地区の特殊業態婦について淋疾患者の動態を調べた. さらにN. gonorrhoeaeの分難同定に関して種々検討を加えるとともに, 血清学的同定法の1つである螢光抗体法を応用して次のような結果を得た. I. 淋疾患者の年度別推移は感染源調査および自発的集団検診ともに検出率は上昇しており, 最近における潜在的淋疾患者の増加を認めた. 2. 症状のない患者からのN. gono.の検出率は高く, 自発的集団検診の重要性を認めた. さらに部位別には子宮頚管に多く検出された. 3. 淋疾の検出にあたり, グラム鏡検法と培養法との検出率の比較は, 培養法が著しく優れている. しかし, 共存菌のため検索不能となる例も多い. 4. 従来の分離同定法には時間的, 労働的負担が多く, しかも途中で株を失なうことがあり集団の検診には難点があったが, 抗生物質を添加することにより, ある程度の改善を得た. 5. さらに螢光抗体法を淋疾の分離同定法に応用し, 塗抹標本における同定を可能とした. 6. 螢光抗体法の迅速同定法として特にDelayed methodを実施すれば優れた検出率を得ることを認めた. 以上の実験成績から, 螢光抗体法の応用と培地の改善により, N. gonorrhoeaeの分離同定は迅速かつ容易に行なうことが可能となったといえる.
- 1968-11-01