Trichomonas vaginalisの分裂増殖に及ぼす2,3の抗原虫剤の影響
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概要
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従来Trichomonas vaginalis (以下 T.vと略) の分裂増殖については形態学的な面からの報告しかなく, 細胞レベルから生化学的に細胞分裂増殖機構の本質を解明するまでには至っていない. そこでradioautograph等の手段を使って細胞レベルからとくに核酸蛋白合成との関係の面よりT.v分裂増殖の機構の本質解明をこゝろみ, このようなT.vの分裂増殖の過程に日常よく使用される抗原虫剤がどのような影響を及ぼすかについて検討した. T.vの分裂増殖はその培養環境に大きく左右され理想的な同調培養をすることは困難である. また増殖の過程に, 細菌の増殖のときにみられる誘導期, 対数期, 定常期等がT.vのときははっきり区分することができない. T.vの分裂増殖に応じて核酸合成が行なわれるが, これも培養環境に大きく左右される. 著者の培養条件によった場合は, T.v分裂増殖サイクルは世代時間6.4時間, DNA合成時間1.4時間, DNA合成後分裂までの時間1.0時間, 分裂時間1.3時間, DNA合成が始まるまでの時間2.7時間で, 高等生物の増殖サイクルにくらべてかなり短い. またT.vにおける10^6当りDNA0.97μg, RNA5.8μg, 蛋白150μgでありRNA/DNAはほゞ6であった. Minimal Inhibitory Concentration: M.I.C. (最少発育阻止濃度) 以上の抗原虫剤を投与するとTrichomocidalな作用がみられ, 増殖サイクルに世代時間の延長がみられた. またM.I.C.以下の投与量によってはDNA合成時間には変化なく, M.I.C.以上の投与量でDNA合成時間の延長がみられた. しかしMetronidazole 10μg/ml投与ではDNA合成時間は算出することはできなかった. 抗原虫剤M.I.C.の投与で核酸量, 蛋白量の減少がみられ, ^<32>PのT.v核酸分画へのとりこみの阻害傾向, T.v細胞破片を使った^3H-thymidineのDNA分画への移行阻害等から抗原虫剤の一次作用は断定できないまでもT.v核酸合成系の阻害がみとめられ, この作用は特にMetronidazoleに著明であった.
- 1968-10-01
著者
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