家兎における銅化合物の排卵誘発および排卵抑制物質に関する基礎的研究
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概要
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啼乳動物および人の排卵という現象は, 極めて複雑であり, この誘発及び抑制に関する基礎的, 臨床的研究が数多く行なわれているが不明の点も多い. 今回雌性成熟家兎に硫酸銅を投与し, その排卵に必要な投与量を検討し, この際におけるestrogen前処置の影響が重要であることを知った. 更に, この結果によって得た排卵促進に最も適当なestrogen前処置を行ない, 硫酸銅を投与し, これに各種のgestagenの投与を行ない, 硫酸銅の排卵誘発作用に対する各種gestagenの排卵抑制作用を比較すると共に, estrogeno前処置がgestagenの排卵抑制作用に対して反作用を持っていることを知り得た. また銅化合物の排卵誘発作用を臨床的に応用する目的で, 新しい銅化合物, すなわちアミノ酸の銅キレート化合物による排卵と毒性の実験を家兎について行なったが, これらの銅化合物は排卵を誘発し得るが, 毒性も強く, 硫酸銅と比較してその50%排卵量と50%致死量との比率 (安全係数) は大差ないことを知り得た.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1968-10-01