家兎子宮筋及び胎盤組織内 progesteroneに関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
子宮筋収縮に対して性 Steroidsがきわめて重大な作用を及ぼしていることは明らかであるが, 実際に子宮筋の中にどの程度 progesterone (prog.) が含有されているか, また妊娠, 分娩時にどのような変化をおこすかについて成熟単一系雌性家兎を用いてGas-liguid-chromatography (GLC) により定量し, prog.の妊娠, 分娩に及ぼす影響, 特に分娩発来との関係について検討した. 1) 去勢家兎に estradiol benzoate (est) を投与した例では子宮筋組織内に prog.を検出出来ず prog. 又は EP hormoneを投与したものではかなり大量の progが定量され, 子宮筋は外因性の prog.をかなり積極的に吸着することが判明した. 2) 無処置の非妊家兎子宮筋組織内には最大0.07μg/g,, 平均0.02μg/gのprog.が証明出来た. 3) 妊娠10日の子宮筋内 prog.は平均0.09μg/g, 妊娠20日の胎盤附着部と胎盤非附着部の各子宮筋内 prog.含有量は, 平均0.17μg/g及び0.08μg/gでわずかながら増量し妊娠30日頃になると胎盤附着部, 非附着部も共に急増してそれぞれ平均0.72μg/g, 0.60μg/gとなった. また胎盤組織内prog.は妊娠20日では0.14μg/g, 妊娠30日では1.87μg/gとなり, 子宮筋と同様妊娠末期には急増している. 4) 産褥子宮筋に於ては, 分娩後12時間の prog.は0.32μg/g, 24時間後0.49μg/g, 48時間後平均0.21μg/g, 72時間後平均0.34μg/gと定量出来たが, 産褥4日目以後は検出出来なかった. 以上のごとく妊娠中期までは胎盤, 胎盤附着部および非附着部の prog.含有量は比較的少なくかつ殆んど差がないが, 妊娠末期になると三者ともprog.含有量は急激に増加し, かつ胎盤, 胎盤附着部, 非附着部の順にprog.含有量が多いことがら家兎胎盤は妊娠中期ではprog. を産生することが比較的少なく, 末期になって息増し, また胎盤で産生されたprog.は全身循環に入る一方, まず target organである子宮とくに胎盤附着部およびその周辺に直接浸透して一般のhormone作用のほかにlocal hormoneとしての作用が考えられる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1968-01-01
著者
関連論文
- 363. 妊婦水腎症の成因 : 第62群 妊娠・分娩・産褥 XII
- 338.骨盤位自己回転法の基礎的,臨床的検討 : 第57群 妊娠・分娩・産褥VII (335〜341)
- 214.妊婦に於ける運動許容範囲とその適要 : 適応と訓練効果に関する研究
- 54 妊婦分娩歴からみた耐糖能異常
- 家兎子宮筋及び胎盤組織内 progesteroneに関する研究