人の子宮頸癌組織より分離された新株細胞について
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概要
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産婦人科領域における癌の組織培養を試み,2年有余ののち我国最初の子宮頚癌組識より継代可能な新株細胞の分離に成功した.初期培養より70継代を経過しているが細胞は増殖旺盛で患者も又生存中である. 広汎性子宮全摘術にて取り出した子宮頚部の癌組織をTripsinにて分離し,50%牛血清を添加したYLE溶液にて37℃静置培養した.株細胞の形態は位相差顕微鏡によると三角形,長方形,多角形で上皮性細胞の特徴を示しL細胞の様な紡錘形ではない.細胞相互間の連りはHeLa細胞の如く強固でなく密に並んだ敷石状は呈さないがSheetは形成しL細胞の様に各細胞がばらばらでない.染色体数は69本にピークを持つているが染色体の形態は不整形不等を示し正常人の体細胞とは著しく異なつている.適性培地は50%牛血清+50%YLE溶液(最終濃度0.25% Lactalbumin Hydrolysate, 0.05% Yeast Extract, 0.225% Glucose)で初期細胞数は5×10^4が最も良く細胞の増殖率は6日間で約7倍である.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1967-09-01