ヒト胎盤におけるprogesterone生成に関する研究
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概要
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ヒト胎盤においてprogesteroneが生成されることは,Bloch (1945),Nissim & Robson (1951), Pearlman (1954)らにより明らかにされているが,近年さらにこのprogesterone生成を調節するmechanismが問題視されている.そこで筆者はprogesteroneのprecursorとしてpregnenoloneを用い,progesterone生成に関与する酵素並びにそのcofactorにつき検討し,さらにin vitroにおけるgonadotropin, NADPH生成系,各種steroidの添加培養実験を行ない,この成績を副腎卵巣組織にみられるsteroid生成の調節機構と比較考察し次の結論を得た. 1) ヒト胎盤のprogesterone生成系酵素Δ^5-3β-ol-dehydrogenaseは主として,microsome fractionに存在し,その活性は妊娠時期に関係なくほぼ等しいことが推定される. 2) NADPH生成系の刺激効果は認められたが,gonadotropinのそれについては確認することができなかつた.従つてgonadotropinは胎盤においては,副腎または卵巣組織に対するtropic hormoneとは異なつた作用機序を有するものと思われる. 3) progesteroneの反応生成物である,estradiol,Δ^4-androstene-3, 17-dione, testosteroneは,いずれも抑制効果を示した.すなわちsteroid自体によるsteroid生成に対する制御機構の存在が示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1967-09-01