母児血清Transferrin HaptoglobinおよびCeruloplasminについて
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概要
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妊娠時は一般に鉄欠乏性貧血の状態にある. そこで鉄に関与する血清蛋白質であるtransferrin, haptoglobin, ceruloplasminの含有値を妊, 産, 褥婦, 胎児および新生児について検討し, 次の結果を得た. 1. 血清transferrin値について, 母体では妊娠初期より高値で以後も漸増し, 9ヵ月で最高となり, その後分娩, 産褥期と減少し, 非妊時の値に復するのには1ヵ月以上を要した. 一方, 胎児では4ヵ月ですでに認められ, 在胎月数とともに増加して分娩に至つた. 新生児期には3日目頃に一旦減少するが, 再び増加して1ヵ月目で分娩時の値となつた. 低体重児群では正常児群に比較して低値を示した. 2. 胎児transferrin産生部位については, 肝臓にそれを認めたが, 胎盤および羊膜では認め得なかつた. 3. 血清haptoglobin値については, 毋体では妊娠初期から8ヵ月まで高値を続け以後減少し, 分娩時を境に急増, 特に第3〜7褥日には分娩時の約4倍に達し, その後著減したが, 1ヵ月後なお高値であつた. 胎児ではほとんどの例で検出されず, 新生児期には早く現われ, 第3生日にはほぼ全例に検出され, 正常児群では第7生日まで急増し, その後ほぼ一定の値で1ヵ月まで経過したのに比し, 早産低体重児群では第7生日でも低値でその後も増加を続けた. 4. 血清ceruloplasmin値については, 毋体では妊娠初期より血清銅値と平行して漸増し, 分娩に至つた. 産褥期は著減して1ヵ月で妊娠初期の値に復した. 胎児では6ヵ月から検出され以後漸増し分娩に至つた. その後も新生児期までこの傾向が続いた. しかし低体重児群では正常児群に比し低値を示した. 以上の成績から, 妊娠時毋体値は, その胎児の発育状態を知る1つのてがかりとなり, また新生児値は, その成熟度を知る1指標となり得ると考えられる.
- 1971-01-01
著者
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