妊娠とビタミンB_<12>に関する研究 : 特にビタミンB_<12>の鉄代謝との関連並びにその胎盤通過について
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概要
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妊婦及び妊娠ラットについて, Vit. B_<12>の動態と鉄剤投与との関係を Lactobacillus leichmanu 7830株による microbioassay で定量し, また妊娠家兎に radioactive ^<57>Co-Coenzyme B_<12> を使用し胎仔への移行を検討し次の結果を得た. 1) 妊娠初期には, 妊婦の血清Vit. B_<12> は平均 0.552mμg/mlであるのに比し, 妊娠末期には平均 0.277mμg/mlと約1/2に減少していた. 2) 妊婦に鉄剤を連続投与すると, 血清Vit. B_<12> の減少は更に著るしいものとなった. 3) 臍帯血清はVit. B_<12> は平均 0.686mμg/ml で母体の約2倍の値を示し, 胎盤には母児血清VVit. B_<12> の濃度勾配にさからって Vit. B_<12> を搬送する特殊な系が存在することを示唆している. 4) 長期鉄過剰投与を行った後妊娠させた妊娠ラットでは, 妊娠が進むにつれて組織鉄は軽度の減少を示す程度であるが, 組織及び血清Vit. B_<12> は著るしく減少した. これは組織 Vit. B_<12> が動員されることを示している. 5) 妊娠家兎に radioactive ^<57>Co-Coenzyme B_<12> を静注すると, 母体各臓器では, 肝臓, 腎臓に多く集り, 時間の経過とともに漸減するが, 胎盤, 胎仔では母体からの移行が急速ではなく, 漸増して行く傾向を示した.
- 1970-05-01