子宮頚管熟化に関する研究
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概要
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妊娠末期および分娩時にみられる頚管熟化の本態について人子宮頚管を材料として組織学的, 組織化学的に検討した. 頚管組織の熟化に伴いコラーゲン線維束が細分化するが, その段階をgrade Iからgrade Vの5段階に分類した. コラーゲン線維束は質的にも変化し, 銀好性が著増して細網線維化し, また幼若化した. 本来の細網線維は稍肥大し, 強盛となつた. 結合織細胞は増加し, 肥胖細胞は減少した. 基質の酸性ムコ多糖類は増加するが, 特にヒアルロン酸の著増とコンドロイチン硫酸の稍増加が特徴的であつた. 以上の所見から頚管熟化の組織学的判定基準を設定した. 妊娠末期より分娩終了までの頚管の型を管状型, 展退型, 尖端抵抗型, 中位抵抗型の如く分類し, それぞれに亜型を付した. 尖端抵抗型亜型には内抵抗型, 瘤状抵抗型・pinhole型があり, これら及びその他の型との間の熟化の相異を検討した. 従来頚管の分類にはCocksの分類があるが, これは分娩誘発の時期決定には有用であるが, 分娩の進行過程にあつて異常を診断するには役立たない. 著者の分類では型相互間の移行が理論的に示され, 臨床的に頚管熟化不全, 展退不全を診断することが出来る点に特徴がある.
- 1970-11-01