細胞内誘導法によるDesamino-Oxytocinの妊娠ラット子宮筋に対する作用について
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概要
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細胞内誘導法により妊娠ラット子宮筋に及ぼすdesamino-oxytocin (ODA)の作用を, 種々の条件下で実験観察し, そのR.P., A.P., 放電群のpattern, 放電頻度及び張力計による張力の変化を検討し, 次の結果を得た. 1)妊娠中期のラット子宮筋のR.P.は45.7mV (ave.), A.P.は42.0mV (max.)であり, 妊娠末期では, R.P.は46.0mV (ave.)でA.P.は46.0mV (max.)となつた. 2)ODAは, 妊娠中期並に末期ラット子宮筋に対し, 収縮作用を有し, 張力の増大, 放電群の持続時間の延長と休止期の短縮, R.P.の増大が認められた. 放電頻度の著明な増加は認められず, 又A.P.の増大も明らかでなかつた. 妊娠中期で10^<-4>U ODA, 末期で10^<-5>U ODAが収縮作用の限界と思われる. 3)Retro-progesteroneはODAに対する妊娠末期子宮筋の感受性を抑制する. 即ちretro-progesterone処置後の子宮筋に対し, 10^<-5>U OAD及び10^<-4>U oxytocinは, 放電群のpatternに殆ど変化を示さず, 10^<-4>U ODAで放電群の休止期のわずかな短縮を認めた. Retro-progesteroneによりR.P.が2mV前後の増大を示した. 4)ODAによる細胞内電位の変化は, K-freeでA.P.は減少し, 16.0mV (max.)となり, 60分以上経過すると振動様電位となるか消失した. Kを高濃度にすると, R.P.の減少, 放電群の持続時間と休止期の延長が著明となり, 放電頻度も減少した. 5)ODAによる電位変化は, Ca-freeでA.P.が減少し, spikeの立上り, 降下速度の減少, 張力の減少が認められた. Caを高濃度にすると, R.P.の減少を示し, A.P.は5mMCaで40.0mV (max.)と高く, 立上り速度も増加した. 又放電頻度はCa-free及びCa高濃度で共に減少を認めた. 6)ODAによる電位変化は, Mg-freeにすると, R.P, が減少し, spikeの立上り速度の減少が認められた. Mgを高濃度にすると, R.P.の増大, A.P.の減少, 放電群の休止期の著明な延長が認められた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1970-11-01
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