ヒト及びラット子宮に於ける神経・筋接合部の電子顕微鏡的研究
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概要
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子宮の神経終末部(神経筋接合部)を確める目的をもつて, ヒト及びラット子宮を用いて電顕的に検索を行い, 次の結果を得た. 1)ヒト子宮の神経線維は末梢に至るまでは5〜10数本が同一のSchwann細胞によつて大部分を被覆され, 末梢に近づくに従つてその数を減少し, 形態は小さくなりSchwann細胞による被覆の程度も減少し, 筋細胞と対向して接合部を構成する. Axon内には少数のmitochondria, neurofilament, synaptic vesicleを含むが, synaptic vesicleは530×650Åと850×1,000Åの二種類のagranular vesicleと電子密度の高い物質を内腔に有する直径600Åと1200Åの2種類のgranular vesicleがあり, これらは単独或いは混在する. 2)ヒト子宮の神経線維の発見率は頚部:体部ではほぼ4:1の割合で, 光顕的に検索した鉄田(1966), 武田(1965)の報告と大体一致する. 3)ヒト子宮の神経筋接合部は, そのシナップス間隙は約300〜650Åを示し, Axonと筋細胞は部分的に対向し膨隆している. この膨化したsarcolemmaにAxonlemmaよりmicro-vesicle (junctional vesicle)の連続的な配列を認める所見を得た. 4)ラット子宮の神経筋接合部はそのシナップス間隙が約300〜500Åとやや小さく, ヒト子宮にも認められなかつたinfoldingはやはり存在しないが, 平滑筋細胞はわずかに陥凹を示す所見を得た. 5)神経末梢部の膜構造をPAM染色で観察すると銀粒子が選択的にintensiveに附着する部分があり, これは神経筋接合部に於けるhumoral transmitterの細胞内或いは細胞間転送という生理的現象とも理解される所見と考えている.
- 1970-10-01
著者
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